再就職して給与が下がった場合、就業促進定着手当を確認できることがあります。主な条件は、再就職手当を受けていること、同じ事業主で雇用保険の被保険者として6か月以上働くこと、所定の方法で比べた賃金日額が下がっていることです。給与が下がっただけで、自動的にもらえる手当ではありません。
- 再就職手当の受給後、6か月の継続雇用と賃金の低下を確認する制度
- 2025年4月1日以降の再就職は、基本手当日額×支給残日数×20%が支給上限
- 原則の申請期間は、再就職から6か月経過した日の翌日から2か月間
制度の確認日:2026年9月17日。原則として2025年4月1日以降に再就職した方に向けた解説です。図解・表・計算例・文例は編集部作成。写真はAI生成のイメージです。
再就職手当との違い
どちらも再就職に関係する雇用保険の給付ですが、確認する時点が異なります。就業促進定着手当の準備を始めるときは、まず再就職手当の支給決定通知を見返しましょう。
| 比べる点 | 再就職手当 | 就業促進定着手当 |
|---|---|---|
| 主な場面 | 基本手当の支給残日数を残して、安定した職業に就いたとき | 再就職手当を受け、その再就職先で6か月以上働いた後 |
| 賃金低下の確認 | 賃金が下がったこと自体を支給条件とする制度ではない | 所定の賃金日額が離職前より低いことが必要 |
| 計算の考え方 | 基本手当日額・支給残日数・給付率など | 賃金日額の差と賃金支払基礎日数。別途支給上限あり |
| 準備するもの | 採用・就職の状況などの申請資料 | 再就職後の給与・出勤実績などの資料 |
制度の概要:ハローワーク「就職促進給付」
3つの主な条件と対象外のケース
- CHECK 01再就職手当の受給
その再就職について支給を受けているか、決定通知で確認。
- CHECK 02同じ事業主で6か月
引き続き雇用保険の被保険者として雇用されているか確認。
- CHECK 03所定の賃金日額が低下
離職前と再就職後の算定額を比較。手取りだけでは判断しない。
起業によって再就職手当を受けた場合は、就業促進定着手当の対象ではありません。6か月になる前に再就職先を退職した場合や、勤務条件が変わって雇用保険の被保険者資格を失った場合も、継続雇用の条件に注意が必要です。
再就職手当の対象となった事業主との継続雇用を確認する制度です。グループ会社への移籍・出向でも、資格喪失を伴うかなどを窓口へ確認してください。
受給資格者証に記載された離職前の賃金日額が下限額の場合は、対象となりません。賃金には上下限の扱いがあるため、「月給が減ったので対象」と自己判断しないようにしましょう。
条件・起業・出向:厚生労働省「就業促進定着手当」現行リーフレット/転職:東京ハローワーク「就職促進給付Q&A」Q4
賃金は手取りではなく、所定の方法で比較
手取りの変化には、税金や社会保険料などの控除も関係します。就業促進定着手当では、控除前の総支給額を基にした所定の算定を確認します。通勤手当などを含み、夏冬の賞与など3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含めない扱いです。
月給制では、再就職後6か月間の対象賃金の合計を180で割ります。日給・時給制では、合計を180で割った額と、合計を賃金支払基礎日数で割って70%を掛けた額のうち、高い方を使います。算定後の賃金日額には上限・下限も適用されます。
就職日が賃金締切日の翌日でない場合は、最初の締切日後の6か月分を確認します。対象となる給与期間を先に窓口で確かめ、会社に必要な範囲を依頼しましょう。
例えば給与明細に「8月分」と書かれていても、給与の締切期間と支払日は同じとは限りません。明細の対象期間・締切日・支払日をメモしておくと、資料の不足を確認しやすくなります。
算定方法・対象賃金:厚生労働省リーフレット裏面
計算方法と20%の上限|架空の計算例
金額は、賃金日額の差に賃金支払基礎日数を掛けて計算し、支給上限を超えない範囲になります。差額を必ず全額補填する制度でも、全員に一律20%を支給する制度でもありません。
× 対象期間の賃金支払基礎日数別に確認する支給上限基本手当日額 × 支給残日数 × 20%
支給残日数は、再就職手当の支給を受ける前の日数です。基本手当日額には、この手当の計算用の上限があります。
計算式・残日数の意味:ハローワーク「就職促進給付」
架空の例:差額計算18万3,000円、支給上限10万8,000円
2025年4月1日以降の再就職で、ほかの条件を満たすケースとして、計算の関係だけを例示します。以下の数値は、実在の相談事例や個別の受給見込みではありません。
| 計算に使う項目 | 例の数値 |
|---|---|
| 離職前の賃金日額 | 9,000円 |
| 再就職後の賃金日額 | 8,000円 |
| 対象期間の賃金支払基礎日数 | 183日と仮定 |
| 計算に使う基本手当日額 | 6,000円 |
| 再就職手当の支給前の支給残日数 | 90日 |
=183,000円② 支給上限を計算6,000円×90日×20%
=108,000円
この例では差額計算が上限を超えるため、支給額は108,000円となります。
2025年3月31日以前の再就職は、支給上限の割合が異なります。また、賃金日額などの上下限は毎年8月の改定を確認します。過去の数字をそのまま使わず、手続きに適用される数値をハローワークへ確認してください。
適用日・上限:厚生労働省リーフレット(令和8年8月版)
いつ申請する?6か月と2か月の流れ
再就職手当の手続きを進め、支給決定通知と案内を保管。
給与明細などを保管。資料の対象期間を窓口に確認。
会社の証明・必要資料をそろえ、期限内に提出。
申請先は、再就職手当の申請を行ったハローワークです。転居している場合は、移管などの扱いがあるため、先に提出先を確認します。郵送申請も可能ですが、受給資格通知の添付など、利用状況に応じた案内を確認してください。
2か月の申請期間を過ぎた場合も、諦めず相談
厚生労働省は、申請期限を過ぎても、2年の時効が完成する前であれば申請できる案内を出しています。就業促進定着手当は、所定の基準日から2年が時効の区切りとなるため、「退職から2年」と思い込まず、就職日・雇用期間を伝えて確認しましょう。原則の申請期間内に提出することが基本です。
申請期間・転居:厚生労働省「業務取扱要領」57265/期限後の申請:厚生労働省「申請期限が過ぎたことにより給付を受けられなかった方へ」
必要書類と会社への依頼文例
申請書の記入や勤務先の証明に加え、賃金と出勤実績を確認できる資料を準備します。原本・写しの区別、電子明細の提出方法は窓口で確かめましょう。
| 主な資料 | 確認すること |
|---|---|
| 就業促進定着手当支給申請書 | 本人の記入欄、勤務先の証明欄、対象期間 |
| 雇用保険受給資格者証など | 受給資格通知・マイナンバーカード利用時の提出方法は窓口へ確認 |
| 給与明細または賃金台帳の写し | 対象となる6か月分の賃金を確認できるもの |
| 出勤簿またはタイムカード等の写し | 賃金支払基礎日数を確認できるもの |
対象期間の確認前にこの文例を送らず、空欄を窓口の案内で埋めてから使いましょう。窓口との相談内容と会社への依頼日も記録すると、提出前の確認を進めやすくなります。
資料・資格通知の扱い:厚生労働省「業務取扱要領」57265
申請を進める3段階と確認メモ
- STEP 01ハローワークで確認
支給条件、対象給与期間、提出先、期限を相談する。
- STEP 02会社に資料を依頼
指定された期間の証明と資料を、担当者へ依頼する。
- STEP 03提出して控えを保管
不足の有無を確認し、申請控え・決定通知を保管する。
相談するときの確認メモ
- 再就職日、再就職手当の支給決定通知
- 事業主や雇用保険の加入状況に変更があったか
- 給与の締切日・支払日・支給形態
- 給与・出勤資料の対象期間
- 申請開始日と期限、転居後の提出先
- 会社に依頼済みの資料と、まだそろっていない資料
入金される時期を決めつけて支払い予定を組むのは避け、家計上は支給決定まで別に管理しましょう。提出後に資料を追加した場合は、その控えも一緒に保存すると経過を追いやすくなります。
よくある質問
再就職手当を受けていなくても対象ですか?
再就職手当の支給を受けていることが条件です。転職後に給与が下がっただけでは、この手当の条件を満たしません。
6か月以内に別の会社へ転職したら、期間を合算できますか?
再就職手当の対象となった同じ事業主との継続雇用を確認します。異なる会社の勤務期間を単純に合算して6か月とする制度ではありません。
6か月働いた後、申請前に退職した場合は?
6か月以上、同じ事業主に被保険者として継続雇用された条件を満たしていれば、申請時に既に離職していても、その条件は満たす扱いです。ほかの条件と資料について窓口へ確認してください。
上限の20%は、再就職手当の金額の20%ですか?
再就職手当そのものの金額に20%を掛ける計算ではありません。基本手当日額×再就職手当支給前の支給残日数×20%です。
申請書が届かない場合は、6か月後まで待ちますか?
現行案内では、再就職手当の支給決定通知と一緒に送付する扱いです。手元の通知を確認し、見当たらない場合は窓口へ相談しましょう。案内が届くこと自体が支給決定を意味するものではありません。
申請時に離職済み・案内送付:厚生労働省「業務取扱要領」57262・57265
確認先・出典
条件や適用数値は、手続き時点の公式資料と担当窓口で確認してください。本文は一般的な制度の整理であり、個別の受給可否や金額を判定するものではありません。
