退職金の確定申告が必要か、3つに分けて確認

最初に、退職金を受け取る前に「退職所得の受給に関する申告書」を支払者へ提出したかを確認します。会社から案内された書類に記入した記憶が曖昧な場合は、退職所得の源泉徴収票と会社の担当部署で確認しましょう。

CASE 01

申告書を提出済み

支払者が税額を計算して源泉徴収します。退職所得だけなら、原則として確定申告は不要です。

CASE 02

ほかの理由で確定申告

医療費控除や寄附金控除などで確定申告する場合は、退職所得も申告書へ記載します。

CASE 03

申告書を提出していない

支払額の20.42%が源泉徴収されます。確定申告で正しい税額へ精算します。

「退職したら確定申告」「退職金を受け取ったら確定申告」と一律には決まりません。
退職金の申告書の提出状況と、給与・医療費控除などを含む1年全体の申告理由を分けて確認します。

給与の年末調整や、年の途中で退職した場合の還付申告は、年の途中で退職した場合の確定申告ガイド →で確認できます。

確認先:国税庁「退職金と税」

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「退職所得の受給に関する申告書」は支払前に会社へ提出

退職所得の受給に関する申告書は、退職手当等を受け取る人が必要事項を記入し、退職金を受け取る時までに支払者へ提出する書類です。通常は退職する会社や退職金制度の支払者から案内されます。

提出先は税務署ではなく、退職金の支払者です。支払者は、税務署長から求められた場合を除き、申告書を自社で保管します。

同じ年に別の退職金を受け取っている場合
先に受け取った退職金の「退職所得の源泉徴収票」を申告書へ添付する扱いがあります。複数の勤務先や制度から一時金を受け取る場合は、支払者へ早めに伝えてください。

退職所得の源泉徴収票、給与の源泉徴収票、離職票など、退職時に受け取る書類は名前が似ています。退職時に会社から受け取る書類一覧 →で用途を整理できます。

確認先:国税庁「A2-29 退職所得の受給に関する申告」

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退職所得控除と課税退職所得金額の考え方

退職金には、勤続年数に応じた退職所得控除があります。一般的な退職手当等では、退職金から退職所得控除を差し引き、その残額の2分の1を課税退職所得金額として税率を適用します。

勤続年数 退職所得控除額 例
20年以下 40万円 × 勤続年数
80万円未満なら80万円
10年なら400万円
20年超 800万円 + 70万円 ×(勤続年数-20年) 25年なら1,150万円
一般的な課税退職所得金額 =(退職金の収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2

勤続10年・退職金500万円の例

  1. 退職所得控除:40万円 × 10年 = 400万円
  2. 控除後の残額:500万円 - 400万円 = 100万円
  3. 課税退職所得金額:100万円 × 1/2 = 50万円

この50万円へ所得税等の税率を適用します。実際の源泉徴収税額は支給年の速算表で計算し、住民税は別に計算されます。

この計算例は一般退職手当等の単純例です。
勤続5年以下の短期退職手当等、役員等の退職手当、障害を原因とする退職、複数の退職金がある場合は計算が変わることがあります。

確認先:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」

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申告書を出さず、20.42%を源泉徴収された場合

退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合、退職金の支払額に20.42%を掛けた所得税等が源泉徴収されます。退職所得控除を反映した通常の計算ではないため、本人が確定申告をして精算します。

たとえば退職金300万円なら、申告書未提出時の源泉徴収額は単純計算で61万2,600円です。ただし、確定申告後にこの全額が必ず還付されるわけではありません。退職所得控除、勤続年数、ほかの退職金等を基に正しい税額を計算し、源泉徴収済みの金額との差額を精算します。

還付申告は、申告義務のない方が納め過ぎた所得税を返してもらう手続きです。源泉徴収された税額が正しい税額より多い場合に還付されます。

確認先:国税庁「No.2732 退職手当等に対する源泉徴収」、国税庁「No.2030 還付申告」

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確定申告に用意する書類と情報

退職金の精算を含む確定申告では、退職金だけでなく、その年に申告する給与・控除等の資料もそろえます。

書類・情報 確認する内容
退職所得の源泉徴収票 支払金額、源泉徴収税額、勤続年数、退職所得控除額
給与の源泉徴収票 退職前・再就職先の給与、年末調整、源泉徴収税額
控除関係の資料 社会保険料、医療費、寄附金、生命保険料等の対象資料
本人確認と口座情報 e-Tax等に必要な本人確認、還付を受ける本人名義口座
ほかの退職金の資料 同年中や近い年に別の一時金がある場合の源泉徴収票等

退職所得の源泉徴収票は、原則として退職後1か月以内に受給者へ交付する扱いです。届かない場合は、退職金の支払者へ発行状況を確認します。

住民税は退職金から特別徴収されるのが一般的ですが、給与にかかる住民税の残額や翌年度分は別に確認します。退職後の住民税の支払い時期と納付方法 →をご覧ください。

確認先:国税庁「No.7421 『退職所得の源泉徴収票』の提出範囲と提出枚数等」

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勤続5年以下・複数の退職金などは個別確認

次のケースは、一般的な「控除後の残額を2分の1」にする計算だけで判断できないことがあります。

ケース 注意点
勤続5年以下 短期退職手当等に該当し、控除後の残額のうち300万円を超える部分に2分の1計算を適用しない場合があります
役員等として勤続5年以下 特定役員退職手当等に該当する部分は、2分の1計算を適用しません
同じ年に2か所以上から受給 勤続期間の重複や、先に支払われた退職金を含めた調整が必要です
確定拠出年金などの一時金 退職所得に該当する場合があり、過去の退職金との期間調整が生じることがあります
海外の支払者から受給 国内で源泉徴収されていない退職金は、確定申告が必要になる場合があります

勤務年数だけで区分を決めず、源泉徴収票に記載された区分、支払者からの説明、過去の退職金の受給歴を整理して相談しましょう。

確認先:国税庁「No.2740 勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等」

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確認から確定申告までの4ステップ

退職金の税務を確認する順番
  1. STEP 01提出状況を確認

    退職所得申告書を支払前に提出したか確認

  2. STEP 02源泉徴収票を確認

    支払額・税額・勤続年数・区分を照合

  3. STEP 03申告理由を整理

    20.42%徴収、医療費控除、給与の精算等を確認

  4. STEP 04対象年の案内で申告

    作成コーナー等で退職所得を含めて入力

確定申告をする場合は、退職金だけを切り離して考えず、その年に申告する給与・その他の所得・所得控除を合わせて確認します。対象年の確定申告書等作成コーナーや手引きに従って入力してください。

ふるさと納税のワンストップ特例を利用していても確定申告をする場合は、ワンストップ特例が無効になるため、申請済みの寄附を含めて寄附金控除へ反映します。

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退職金と確定申告のよくある質問

退職所得申告書を提出したか分からないときは?

退職所得の源泉徴収票で税額や記載内容を確認し、分からなければ退職金の支払者へ提出状況を問い合わせます。

20.42%引かれていれば、全額戻りますか?

全額還付とは限りません。退職所得控除等を反映して正しい税額を計算し、源泉徴収された税額との差額を精算します。

退職金が退職所得控除以下なら申告不要ですか?

申告書を提出し、支払者が正しく計算して源泉徴収している場合は原則として退職所得の確定申告は不要です。申告書未提出や、ほかの理由で確定申告する場合は別に確認します。

医療費控除のために確定申告するとき、退職金も入力しますか?

はい。退職所得申告書を提出済みでも、医療費控除や寄附金控除などの理由で確定申告書を提出する場合は、退職所得も記載します。

退職所得の源泉徴収票はいつ届きますか?

原則として退職後1か月以内に交付する扱いです。紙ではなく、承諾の上で電子交付される場合もあります。

退職金と最後の給与は同じ欄に入力しますか?

同じ欄にはまとめません。給与は給与所得、退職金は退職所得として区分します。給与の源泉徴収票と退職所得の源泉徴収票を分けて確認してください。

確定拠出年金の一時金も同じですか?

退職所得として扱われる一時金がありますが、過去の退職金との勤続期間調整等が生じることがあります。支払通知と過去の源泉徴収票をそろえて個別に確認してください。

退職金を受け取った年に失業手当も受給しました。申告に入れますか?

雇用保険の基本手当は非課税で、所得税の確定申告へ収入として入れません。詳しくは失業手当と確定申告の違い →をご覧ください。

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公式の確認先・出典

確認日:2026年9月25日。税制・様式は改正されることがあります。実際に手続きする年分の国税庁案内と、支払者が交付した書類を確認してください。

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